研究室について

舘研究室は,舘 暲(たち すすむ)東京大学名誉教授が主宰する研究室で,盲導犬ロボット,バーチャルリアリティ,テレイグジスタンスなどの,人間のための科学技術を追求しています.人間のためのロボットやバーチャルリアリティの研究であり,人間の様々な営みを助けるロボットですが,他者である自律型のロボットではなく,人間の賢い道具として人間を助けるロボットです.ロボットが自分の分身となって,不幸にして失われた機能を補ったり,また人間の能力を拡張したりして人間が人間らしく生きることを助けるロボットであって,あくまでも主体が人間であるところに特徴があります.このような自分自身と同体のロボットを一般的な「他者としてのロボット」に対比して「分身ロボット」あるいは「アバター」と呼び1970年代から40年以上にわたり一貫して研究してきています.なお,研究室の所属先は下記のとおりに変遷しています. 

  • 1989年9月1日―2009年3月31日 東京大学先端科学技術研究センター
  • 1994年4月1日―2009年3月31日 東京大学工学部計数工学科
  • 2001年4月1日―2009年3月31日 東京大学大学院情報理工学系研究科
  • 2009年4月1日―2015年3月31日 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科
  • 2015年4月1日―現在         東京大学高齢社会総合研究機構

 

なお,舘研究室の前身は,下記にありました.

  • 1975年5月1日―1990年12月31日 通商産業省工業技術院機械技術研究所

 

自分自身と同体のロボット研究の好例として,1976年から1981年にかけて行われた「盲導犬ロボット」の研究があります.目の不自由な人が,ロボットを自分の目の代わりに使って自由な歩行を獲得します.これからのロボットに必要な「安全知能」の概念も,この盲導犬ロボット研究の「賢い不服従機能」から生まれました.なお,この研究の視覚伝達部分が基になって,目の不自由な人のための視覚を電気触覚で額に伝えるシステムが実用化され実際に使われています. 

1980年に,人間がロボットを自己の代理あるいは分身として利用するという「テレイグジスタンス」の概念を世界に先駆けて提唱しました.これはロボットの新たな用途の提案であると同時に,遠隔地に自己の存在そのものを伝送するという,人類における新たな発明ともいえます.この概念を提唱するにとどまらず,これまでの37年にわたる長年の研究を通じて人間が三次元の視聴覚空間を頭の中で再構成するメカニズムを解析し,人間の感覚特性とロボット技術を利用し,TELESARというアバターロボットシステムを構成して,人間があたかもその場にいるような実時間臨場感を生じさせるテレイグジスタンスの工学的実現可能性を実証しています.