JST ACCEL EMBODIED MEDIA PROJECT FACTBOOK 2014-2019
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JST ACCEL

EMBODIED MEDIA PROJECT

FACTBOOK 2014-2019


[ 表紙 | 人間が人間らしく生きるために | 身体性メディアに基づく新産業の創出を目指して | バーチャルの力によって立ち上がる現実こそが本質 | 触原色原理の究明/一体型触覚伝送モジュールの開発 | ウェアラブル触覚インタフェース/身体性コンテンツプラットフォームの構築 | 共創コミュニティの創出 | 身体性テレイグジスタンスプラットフォームの構築 | アイデアを社会実装へと繋げるために | 研究組織 | 研究期間 | 主な論文・特許 | 主催イベント | 研究参加者 ]


JST ACCEL EMBODIED MEDIA PROJECT FACTBOOK 2014-2019

JST ACCEL身体性メディアプロジェクトでは、人間が人間らしく生きていくためのテクノロジーとして「テレイグジスタンス」と「ハプティクス」を研究してきました。

表紙のイラストでは、フィジカルな地球を覆うバーチャル空間に張り巡らされたネットワークを通じて、人々の身体的な情報が行き交う姿を描いています。

イラストの中に描かれているストーリーは、身体性メディアプロジェクトが思い描く来たるべき将来像を示してしています。

危険を伴う作業の代替

テレイグジスタンスロボットを宇宙空間や災害現場、危険地帯作業などで活用することで、人間自身が現場へ行くことなく作業を行うことが可能です。そうすることで人命に関わる事故のリスクや開発コストを抑えることができます。(①、⑤、⑨、⑪)

人の能力の時間・空間を超えた活用

テレイグジスタンスを活用することで、瞬時に世界中を旅したりスポーツやショッピングなど様々なレジャーを楽しんだりできるだけではなく、医師のような専門的な技能やクリエイティブな才能を世界のさまざまな場所に届けることができます。また、地球上の時差を活用したり、育児中の母親など、特定の生活の条件下にある人でも、自分の生活リズムに合わせた仕事を行うことが可能になります。(②、④、⑤、⑥、⑦、⑩、⑬、⑭)

身体機能の補綴・拡張

身体に障碍があったり、高齢で身体が不自由になっても、テレイグジスタンスロボットで身体機能を補って、ロボット(義体)を自分の新しい身体として外出を楽しんだり、仕事をすることができます。(⑤、⑨、⑫)

空間を超えた一体感

スポーツや音楽ライブなどにおいては、実際に会場に足を運ぶことで臨場感を得られますが、ハプティクスによりスタジアムの熱狂を視覚、聴覚を超えて感じることができるほか、距離を超えた一体感を感じることができるようになります。(③、⑧)

バーチャル空間における体験の拡張

バーチャル空間における身体感覚をつくりだすことで、まるで自分がゲームやアーカイブされた過去の世界の主人公になった感覚を楽しめます。エンターテイメントはもちろんのこと、教育分野などでも活用が可能になります。(⑫)


[ 表紙 | 人間が人間らしく生きるために | 身体性メディアに基づく新産業の創出を目指して | バーチャルの力によって立ち上がる現実こそが本質 | 触原色原理の究明/一体型触覚伝送モジュールの開発 | ウェアラブル触覚インタフェース/身体性コンテンツプラットフォームの構築 | 共創コミュニティの創出 | 身体性テレイグジスタンスプラットフォームの構築 | アイデアを社会実装へと繋げるために | 研究組織 | 研究期間 | 主な論文・特許 | 主催イベント | 研究参加者 ]

たち すすむ
舘 暲
(東京大学 名誉教授)

身体性メディアの好例は、バーチャルリアリティとテレイグジスタンスです。前者ではコンピュータの創成するバーチャル世界にバーチャルアバターを自分の身体として入り込み、後者では離れたところにある実際の世界にフィジカルアバターを自分自身の新しい身体として入り込んで、人間が現前する世界以外の世界に存在することを可能とするのです。

インターネットなどのネットワークが進展し、文字、音声、画像、映像などの情報はメディア化されユビキタスになりました。最近のIoT(Internet of Things)は、モノを情報化して、ネットで繋げることで、モノのユビキタス化を実現しようとしています。その先にあるのが、身体性メディアです。人間の身体が情報化され、ネットを行き交い、人間そのものがユビキタスになるための技術です。

その技術の拓く世界はどのようなものでしょうか。世界中のあらゆる場所にアバターが置かれネットワークに繋がっていて、誰でもが空いているアバターにログインして利用できます。いつでも自由にログオフできます。コンピュータの生成したなさまざまなバーチャル世界も、ネットワークに繋がっていて、誰もが利用可能です。じつは、使う側の人からすれば、自分が訪れる世界が実世界でもバーチャル世界でもかわりはありません。アバターを自分の新しい身体としてその世界に存在し、情報を得たり、体験をしたり、楽しんだり、また仕事をしたりすることができます。

身体機能を瞬時に移動できるテレイグジスタンス社会が実現すれば、人と産業との関わりや社会のありかたが根幹から変革します。労働環境の問題が解消され、悪環境で働かなくても済みます。どんな場所に工場を置いても、仕事をする人を全国、あるいは全世界から集められるため、いままでとは工場の立地条件が革命的にかわり、大都市への集中が避けられるのです。国外の労働者も遠隔から就労できるため、移民問題を解消できます。さらに時差を利用することで24時間の労働力を時差のある複数の国外拠点から確保でき夜勤が不要となるのです。男女問わず育児や介護をしながらの労働参加が可能となり、子育てや介護がしやすい社会となります。

グローバルなビジネスにおける移動による時間的コストを解消するという点もメリットです。通勤に伴う移動が不要となり、交通問題を緩和できます。職住近接が必ずしも必要ではなくなり、都市への人口集中が緩和され地域の活性化が実現します。ワーク・ライフ・バランスを改善し、本人が住みたい場所に住んで、浮いた時間を活用し、生きがいのある生活を行えるようになると予測されます。

また義体である分身ロボットにより身体機能を補綴したり拡張したりすることで、高齢者や障碍者でも若者に体力的に負けず、豊富な経験を活かした労働参加が可能となり、労働の質が格段に向上し社会の活力がよみがえるのです。

世界的に一流のスキルを有する技術者・医師等の専門家の招聘も容易になり、職能に応じた人材の最適配置が行えます。逆に、医師や専門家の過疎地や海外への派遣も容易になります。

災害時や非常時の緊急対応を安全な場所から瞬時に行うこともできるわけです。勿論、観光や旅行やショッピングまたレジャー、教育などに利用できることは言うに及びません。

このような「時空間瞬間移動産業」の創出によるテレイグジスタンス社会を実現することで、国民の利便性と生きがいが飛躍的に向上し、クリーンで省エネルギーな社会における健やかで快適な生活が実現されると見込まれているのです。

私たちにとって何よりも大切なことは、基本的に、人間が人間らしく生きるということです。私たちだけではなく世界各国の人たちも、皆が人間らしく生きるための手助けとしてテレイグジスタンスやバーチャルリアリティがあるのではないでしょうか。それによって人間の能力を拡張したり、補ったりできます。体が不自由でも、テレイグジスタンスの身体を自分の身体として使うことによって、究極のサイボーグとなります。自分の体に不具合があっても、新しい体が手に入るので、その体で様々な作業ができますし、そのインターフェースによって、失った手が動くようになったりするわけです。人間の失われた機能を回復したり更にそれを強めたりして人間の能力を拡張して、あとは、人が一番やりたい仕事ができるということが理想です。それが人間らしく生きるということかと思います。何が人間らしいかは、一人一人によって違うでしょうが、そういった個々の願いを叶えさせるためにこそ、科学技術を使っていくべきです。

世界には、貧困や紛争などで大変な暮らしを余儀なくされている人が多数います。その現実を知るということを例にとっても、テレイグジスタンスで直接難民キャンプや現地を訪れて、その事態を目の当たりにし直接話を聞くことと、ただニュースを見ていることでは、その理解に天と地ほどの差があります。さらに、テレイグジスタンスを使って、自分の使える時間だけボランティア活動をすることもできます。専門家であれば、各種のコンサルティングや医療や介護などもテレイグジスタンスで容易に行えます。多くの人が、自国のテレイグジスタンス社会を享受して、それにより自由になった時間を利用して、実際の移動を伴わずに、世界中の困っている人を助けることができるようになるのです。

人間に新しい身体を義体として与え、時空の瞬間移動をバーチャル(実質的)に可能とするテレイグジスタンスは、人間がより人間らしく生きてゆくことに、今後大きく貢献してゆくことでしょう。


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JST ACCEL H26年度 採択課題
触原色に立脚した身体性メディア技術の基盤構築と応用展開

触原色原理に基づき「触覚」の伝送技術を実用化し、視聴覚と同様に情報メディアとして扱えるようにすることで、人の能動的な身体的経験を時間・空間を超えて伝える「身体性メディア」の技術的基盤を構築し、産業展開へ向けたコンセプト実証を行うことを目的として、2014年12月より5年間の研究プロジェクトが始動しました。研究開発成果をシームレスに社会実装へと繋げるため、産学の「共創」を重視し、基礎研究・コンテンツデザイン・ビジネスが一体となったコミュニティを構築しました。

身体性メディアに基づく新産業の創出を目指して

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Research Director
Susumu Tachi

ACCEL研究者代表
舘 暲(東京大学名誉教授)

──ACCELとは、どのようなことを見据えた試みだっだのでしょうか。

ACCELというのはJST(日本科学技術振興機構)の研究開発プログラムです。これまで戦略的創造研究開発事業(CREST、さきがけ、ERATO)などで創出された先進的な研究成果のうち、有望ではあるもののすぐに企業などで実装することが難しい成果を抽出し、プログラムマネジャー(PM)がイノベーション指向の研究開発マネジメントをすることによって、技術的成立性の証明・提示と適切な権利化を推進し、企業やベンチャー、他事業などに研究開発の流れを繋げることを目指すものです。

ACCELの趣旨である「研究開発された技術を展開し、社会実装する橋渡し」としては、大きく二つの成果がありました。ひとつは、コンソーシアムを作ったことで、その中で研究コンセプトや技術を共有し、多くの人に理解できるものにしつつ、多数の共同研究を通じて社会に実装する状況を生み出せたこと。もうひとつは、開発した技術を中心に、事業化していくためのベンチャー企業「テレイグジスタンス株式会社」を立ち上げたことです。そのうえで、テレイグジスタンスを活用しながら、今後どんな社会を作るのかを考えないといけないわけです。

テレイグジスタンスが描く世界を今後大きく発展させていく種ができたという意味で、ACCELのこの5年間は有意義なプロジェクトだったと言えます。この活動を起点に、新たな社会づくりの動きが世界的に始まろうとしています。

──そもそも、VRやテレイグジスタンスといった概念はこれまでどのような発展を見せてきたのでしょうか。

身体性のあるメディア表現の構築に向けて、データの3D化とVR化という検討は従来からなされてきましたが、それらはおよそ30年周期で交互に変革が起こっています。最近になってVRのテクノロジーが第二次興隆期を迎えるその以前は、VRとはどちらかと言うと「忘れられた存在」でした。それが現在は、当時に比べてデバイスの価格は100分の1になり、性能は100倍から10万倍になりました。コンピューターの性能も向上したことで、必然的にOculus Riftのような性能の良いVRデバイスが誕生し、2020年を目前に、今ではVRは当たり前の技術になりつつあります。

5Gという通信技術の開発にともない、触覚の通信データ化も検討されています。通信環境が5Gになると、遅延が1ms(1/1000秒)程度に収まります(注:4G通信の場合は10〜数10msの遅延)。その速度での通信環境が整うと、人の触覚のデータのやりとりが可能になり、遅延なく感覚を共有することが可能になるのです。

基本的に人間は、50Hzぐらいの周波数帯域にあるものは連続したものとして捉えます。視覚メインの通信の場合は、50Hzの周波数帯域の中で20msぐらいをワンフレームとして捉えるので、少しぐらいテンポが遅れてもあまり問題になりません。しかし触覚の場合、ちょっとした遅れが生じると「触った」という感覚が生じません。そこに5Gの通信環境が実現されることで、初めていろいろな作業ができるようになります。そんな背景もあって、電気通信事業者は今、5Gを活用した新しいテレイグジスタンス的な技術を盛んに求め出しているのです。

身体性メディアプロジェクトが働きかけ、IEC(国際電気標準会議)の中の TC100(マルチメディア部門)のTA4(プロトコル部会)および TA20(オーディオ部会)が中心となった、触覚の国際標準化に向けての活動が本格化しています。こういった状況の変化によって世界のあらゆる触覚情報が記録されるようになると、VRとハプティクスとロボティクスが掛け合わさって、テレイグジスタンスの環境がやっと実現されることになります。

これまでもたびたび言い続けていることなのですが、このときに重要になるのが、「バーチャル=仮想」という考え方から抜け出さなければいけないということです。「バーチャル=実質」です。つまり、「見かけ上は現実ではないが、実質的には現実である」ということがバーチャルの意味です。実際と同じ効果を与えたり、現実のエッセンスを持ったものこそが「VR」と呼ばれるべきものなのです。

バーチャルな情報が、現実の感覚と比べて遅延なく再現できるのであれば、もうそれは現実と同じです。ただ、それは現実とまったく同じ方法で再現するわけではない。バーチャルの中で実質的に現れてくる世界こそが、その本質を捉えた世界であると言えるわけです。例えば、VRやテレイグジスタンス上で災害時の避難のシミュレーションをすることで、実施の避難での具体的な行動に繋がる。「VR上にどのような本質的な要素が入っていれば期待する作用が現実に発生するのか」という視点で考えるべきなのです。

──テレイグジスタンスの強みを教えてください。

テレイグジスタンスの利点は、自律した知能ロボットに人間自ら入り込めることにあります。つまり、知能ロボットを管理制御して、ロボットができることはロボットに遂行させ、人にしかできない部分を人間が行うことで、一人の人が、多数のロボットを使うことが可能になります。また、ロボットにテレイグジスタンスして普段はできない体験をするときでも、好きなときに、ロボットからログオフできます。その後は、ロボット自らが元の場所に戻って行ってくれるのです。さらに、テレイグジスタンスでの遠隔就労が進めば、人が身体を利用して作業する際に、人がどこを見ながら手にどのような力を加えて作業しているかまでわかるデータが数多く集まります。つまり、テレイグジスタンスにより世界中で労働者が業務を行っているうちに必要なデータが集まり、その業務をロボットに置き換えることが可能となってゆくのです。作業の深層学習でも、テレイグジスタンスは重要な役割を果たします。

──今後、テレイグジスタンスによってどのような社会が実現されていくのでしょうか。

テレイグジスタンスは究極のサイボーグといえます。自らの身体を改変することなしに、失われた身体機能を取り戻したり、増強したりできるからです。このテレイグジスタンスにより、環境、距離、年齢、身体能力などのさまざまな制限にかかわらず、皆が自在に瞬時に移動することを可能とする時空間瞬間移動産業が生まれ育つと予測されています。テレイグジスタンスを基軸とした社会の実現は、遠隔就労やレジャーはもとより、例えば医師、教員、熟練技術者が不足している地域や、人間の立ち入りが困難な災害現場などでのアバターの活用など、国際社会が直面している多くの課題の解決が図れ、かつ人間性を尊重しつつ経済発展してゆくことを可能にする社会の実現に貢献すると期待されています。

舘 暲(たち・すすむ)
舘 暲(たち・すすむ)

東京大学名誉教授、工学博士。日本バーチャルリアリティ学会初代会長。専門はロボット学とバーチャルリアリティ学。1980年、世界で初めてテレイグジスタンスの概念を提唱、爾来その実現のための研究を行う。テレイグジスタンスのほかにも、盲導犬ロボット、再帰性投影技術、触原色、裸眼立体VRなどの独創的な研究で世界に知られる。IEEE Virtual Reality Career Award、通商産業大臣賞、文部科学大臣賞をはじめ各賞を受賞。また、1993年には、国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)を創始した。『バーチャルリアリティ入門』『ロボット入門 つくる哲学・つかう知恵』『Telexistence』など、著書多数。


3D、VR、テレイグジスタンスの30年周期

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触覚が当たり前のように記録・再生できる未来を実現するために。

Team Members

──ACCELにおいて、一体型触覚伝送モジュール開発チームの役割とはどのようなものだったのですか。

梶本:我々は触原色原理(図1)の考えに基づいて、触覚を記録して再生する触覚モジュール(図2)とソフトウェアの開発しました。これまで要素技術として、私は電気触覚を研究していたし、佐藤先生は温度提示や発熱を最低限に抑える世界初の研究などもされていた。またメクトロンさんは圧倒的な数の触覚センサーをロボットハンドの表面に貼るというインパクトのあることを過去にやられていたし、アルプスアルパインさんは言わずもがな、高品質の小型振動フィードバックデバイスを作って、高品位な振動提示を商品に組み込むということを長年やられていました。それらを「組み合わせる」ということに挑戦しました。

吉原:モジュールを配置するためにはフレキシブルな基板(FPC:Flexible Printed Circuits)が必要だということで、我々のノウハウを用いて曲面にフィットして切れにくい配線構造を開発しました。

萩原:我々アルプスアルパインでは得意分野のひとつである小型化技術を生かして、振動と温度提示を組み合わせた二原触提示モジュールを小型化しながら、それでもしっかりと放熱できる構造にするという点で貢献しました。

梶本:モジュール開発において、触原色原理における「振動」では人の触知覚特性に合わせて幅広い周波数帯域をカバーするHiFi振動の開発を行いました。「力」においては、電気刺激における痛覚の削減と、多点圧感提示の安定化を実現しました。当初から量産化を見据えた研究・開発を行ってきたので、実装面での知見も数多く貯めることができました。

佐藤:私は特に「温度」において温冷提示素子を並列に配置し高速な温度感覚制御を行い、その実装方法も検討し低価格化の実現を目指しました。

──プロジェクトを進めていく中でどのような苦労がありましたか。

梶本:一番大変だったのは、振動と温度の二原触提示モジュールの上に電気刺激提示モジュールを乗せることでした。温度提示の上に電気刺激フィルムを乗せるんですが、乗せた瞬間に熱が通らなくなるので温度提示ができなくなるんです。それがなかなか解決しなくて、設計要件をどんどん変えていきました。また、多人数が複数回使用しても安定するかなどの試行をひたすら行いました。あとはソフトウェアの開発です。

触覚レンダリングアプリケーション

このソフトウェア開発というのは、たかだか数百行の、ハードウエアの中に組み込むソフトウェアのことです。その中で何が難しいかというと、レンダリングアルゴリズムなんですね。つまり、ある触感を出したいときにどう提示装置を動かせばいいのか。それは、ソフトウェアとしてはたった1行程度のものかもしれないんですが、その1行を見つけ出すのに実に多くの実験を積み重ねなければならなかったというわけです。実は、それでもまだ、すべてを見出しきれてはいません。

佐藤:振動に関しては、振動の波形をそのまま流せば思った通りに出力されるのですが、そこに力(電気)刺激や温度刺激を足して出すことで、振動単体では今までに表現できなかった多くの触感が表現できるようになりました。しかし、三つの刺激をどのように組み合わされば、どのような触感が表現できるかについての詳細は、まだあまり明確になっていません。これからは、そのあたりを整備していくことが必要かなと思っています。

萩原:温度刺激を提示する装置というのは今までほとんど世の中に出ていなかったのですが、今回このプロジェクトで、それが世に出たことで、大きな話題になったかと思います。しかし、反面まだまだ課題がいっぱいあります。例えば、人による感じ方の違いや安全性など。そういったところのノウハウをこれから積み重ねていく必要があると思っています。

──産学共創はプロジェクトにおいてどのように役立ちましたか。

佐藤:やはり実装上のアイデアを一緒に議論できたことが大きかったです。それから個人的に大事にしたこととしては、物理的なパフォーマンスと人の感覚の間の妥協点を探すという姿勢です。「その人が感じることこそがリアル」というVRの考え方とも重なりますが、人にとってリアルな環境をうまく再現できていれば、装置の物理的なパフォーマンスは落ちても問題ないという考え方に基づいて、いろいろと技術を組み合わせました。

梶本:これらの技術を組み合わせ、「指先で実現できればどこででもできる」という考え方のもと、三原触計測・提示のグローブを作るというある意味一番難しいところにもチャレンジしました。人の指先に装着するかたちで、指先の触覚をすべて記録し、再生するという装置はこれまでほぼありませんでした。

三原触計測グローブ、三原触提示グローブ

振動だけ、力だけを記録・再生するものはあったのですが、いまだ、「指先の触覚をすべて記録し再生する装置」は存在しませんでした。

吉原:5年前は、それこそビニールの手袋みたいなところからスタートしています。最初は親指と人差し指の2本指で、その後になんとか3本指のものを作ったりと、試行錯誤の連続でした。

梶本:触覚モジュール開発を通して初めて、「リアルな感触をどうやって作り出すかは実はまだ誰もわかってないんじゃないか」ということがわかってきて、私はどちらかというと、触覚の基礎の部分に戻らなきゃいけないなという、ある種の原理主義者になってしまったかもしれません。リアルな感覚を作るというのをひとつの目標にするならば、少なくともこのチームも含めた触覚研究者全員が、より深く取り組むべきかなと。そういったことを思い知らせてくれるようなプロジェクトだったかなと思っています。

吉原:「触原色」という言葉自体も含めて、この研究開発の認知度は正直まだまだです。VRゴーグルと触覚デバイス越しにいろいろな物を触って「どこでもドア」のような世界を体験する技術の実装はもう目の前まで来ているので、その基本となる「触原色原理」を広めていきたいものですね。

触原色原理とは何か

生理学的知見に基づき、触覚を分解・伝送・提示しようとする技術概念のことを触原色原理と呼びます。視覚の三原色(赤色・緑色・青色)が眼球の錐体細胞の波長特性に紐付いていることと同様に、触原色では、皮膚感覚の受容器の特性をもとに学理を究明し、「力」「振動」「温度」という三つの物理刺激を触原色と定義しています。このプロジェクトでは、触原色と触感の対応関係(マッピング)を、我々の触感を表現することばであるオノマトペを用いて実験的に解明し、その対応関係を用いて、オノマトペで表現される触感を生じさせるための三原触の提示方法を明らかにしました。

この技術の研究開発がさらに進めば、触覚を汎用的な方式で計測・記録し、伝送して、再生・提示することができるようになります。それにともない、撮像モジュール(CCDなど)や提示モジュール(LCDなど)に匹敵するセンシングと提示のモジュールや素子を作製することが可能になり、産業応用も進むことが期待されます。触覚が、視覚や聴覚に匹敵する情報メディアとなる未来を見据えた技術概念が触原色原理なのです。

一体型触覚伝送モジュールの設計・量産試作

触原色原理に基づき、振動/温度/力の提示の要素技術開発・モジュール試作を経て、量産試作型モジュールの開発を実施。

一体型触覚伝送モジュールの設計・量産試作(図2)


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人の身体的な経験を記録・創造・伝達する身体性コンテンツプラットフォームの構築

人の触感覚を記録再生する技術が確立され、インターネットを介して身体感覚が流通するような近未来では、触覚技術は新たにどのような体験をもたらすのでしょうか。ACCELの「身体性コンテンツプラットフォームチーム」では、通信放送分野やエンタテインメント分野における触覚の活用を目指し、視聴覚と全身の触覚とが融合した体験を提供するコンテンツプラットフォームの研究開発を行ってきました。

要素技術を統合し、豊かな体験を創り出す

南澤:人の触覚・身体感覚の知覚原理の解明や、その計測技術・提示技術の開発といった要素技術が具体的にどのように使われ、どのような体験を創出し、人々の生活や社会のあり方を変えうるのか。これを実際に体験できるかたちで示すのが、ACCELにおける身体性コンテンツプラットフォームの役割です。テレビやスマートフォンなど既存の情報メディアに触覚が加わると何ができるか、ウェアラブルな触覚インタフェースによって人々の日々の触体験を記録しインターネット越しに共有できたらどんなサービスが生まれるか、身体性メディア技術が生み出す未来のエンタテインメントはどのように人を楽しませるのか、身体感覚が拡張されると人々の技能や行動はどう変容するのか。これらの問いに応えるため、僕らのグループでは各要素技術を研究するだけでなく、これらを実際に使ったウェアラブルインタフェースやモバイルインタフェースのプロトタイプを設計・開発し、さらに触覚を含む身体的経験のコンテンツデザイン手法を開拓しながら、スポーツや娯楽などさまざまなシーンを想定した体験を提案しています。具体的な事業ニーズを持つ企業との共同開発も多数行い、一般に開かれた体験の場を多く設けることで、身体性メディア技術が作る未来のコンテンツ体験の可能性を広く伝えています。今後もさまざまな立場の方々と、身体性メディアが生み出す未来の体験を共創していきたいと思います。

コンテンツ体験を支える基盤技術の今

篠田:私の方では、触覚体験を作るために必要な基盤技術の構築と実装を担当しました。人間の触覚は、深部感覚と皮膚感覚という2種類の感覚が合成されたものです。深部感覚とは、おもに筋肉で知覚される力の感覚です。これを完全再現するために、強い力まで提示しようとすると、がっしりとしたメカが必要になってしまいます。それに対して皮膚感覚の方は、ウェアラブルなデバイスでも十分に提示できる。これで触覚体験が強く制限されるのかというと、そうでもないんですね。皮膚感覚への刺激をしっかり与えることができれば、多くの触覚体験が再現できることが近年わかってきています。このプロジェクトでは、簡単に身に着けることができ、それでいて豊かな触覚体験を再現できるウェアを目指しました。

ここで重要になってくるのが、技術そのものだけでなく、使う側の適応の問題です。携帯型、装着型のデバイスで再現される触感は、多くの場合、なんらかの意味で不完全です。使う側が、その不完全さをカバーするように適応してくれると用途は大きく広がります。使う側に適応が必要な例として、自動車の運転がありますが、それを可能にしているのが操作方法の標準化です。触覚・身体性メディアの活用においてもその標準化が今後重要になると考えられます。

南澤孝太 慶應義塾大学KMD、篠田 裕之 東京大学

"Internet of Haptics"
インターネットで触覚がつながる未来の実現に向けて
Internet of Haptics

「触感」がデータとして記録され、インターネット上で検索可能となり、スマートフォンやテレビなどを通じて身体的な経験が共有される未来を実現するためには、インターフェースやコンテンツだけでなく、その伝送規格を確立することも重要です。そこで、ACCELをきっかけとして、様々な企業と大学が連携し、5Gなど次世代通信の時代を見据え、IEC(国際電気標準会議)において、視聴覚情報に加えて触覚情報を伝送する通信規格の国際標準化に向けた取り組みが始まりつつあります。

「Twech」...”触り心地”を動画で記録/共有/検索するためのプラットフォーム
http://embodiedmedia.org/project/twech/


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触覚のデザインを通じて、”触業”を生み出す
「HAPTIC DESIGN PROJECT」

私たちは、日々の生活の中で、様々な人やモノと触れ合い、私たちの身体に遍在する「触覚」を通じて関係性を築いています。ビジュアルデザイン、サウンドデザインなど、私たちの生活を取り囲む「視覚」「聴覚」のデザインと同様に、「触覚(Haptic)」をデザインすることで、素材のさわり心地や、情報の伝達にとどまらず、人やモノとの身体を通じた関係性をデザインすることができる ーこのような触覚を含む身体感覚のデザイン領域を「HAPTIC DESIGN」と名付け、多様な側面からデザイン価値の探求に取組んでいます。
http://hapticdesign.org

ホビーから仕事。仕事から職業へ

「コミュニティ」を起点とし、触覚技術への興味を引き、事業の創出へと繋げる活動を展開。具体的には触覚フィードバックを生み出すセンサデバイスを活用し、触覚体験をつくるハッカソンやワークショップ、多様な参加者で議論するミートアップなどを開催しました。一連の活動では、新しい価値を生み出す「ひと」をつくることを目指し、日々の業務に取り入れられる触覚技術の活用方法を具体的に検討します。参加者同士にも自発的なつながりが生まれ、共創を通じた新たなプロダクト、サービス、事業が生み出されようとしています。

「触業」としてのHAPTIC DESIGNER

触覚技術を用いたプロダクト、サービス、事業が生まれる状況が増えると、職業として触覚を扱うひとの存在が重要になります。「視覚」を扱うビジュアルデザイナーや、「聴覚」を扱うサウンドデザイナーのように、「触覚」を扱うを専門家をハプティックデザイナーと名付けました。ハプティックデザイナーの登場により、素材のさわり心地そのものの設計や、触覚情報を伝達することに止まらず、身体を通じた、人やモノとの関係性をデザインすることができるようになるのです。

触れるデザインに必要な3つの要素「質感、実感、情感」

HAPTIC DESIGNでは、日頃意識することのない「触覚」に気づくところからはじまります。まずは「質感」「実感」「情感」といった、人の「こころ」に訴える要素を手がかりに、触覚について観察します。次に、観察した触覚を言葉にし(言語化)、意味の関係性を位置づけ、分類(体系化)することで、触覚をデザインするためのベースを作ります。それらの情報を組み合わせることで、モノやコトの体験を触覚の観点からデザインします。

質感(モノとヒト)/実感(自己と環境)/情感(他者との関係性)

触覚のテクスチャーデザイン

「質感」とは、モノの材質やさわり心地、またそこから人が感じる手応えのことです。暮らしの中のありとあらゆるプロダクトに存在します。さまざまなテクスチャーを「ざらざら」「ふわふわ」「ねばねば」などのオノマトペに分類し、空間的に表した相関図、“カラーチャートの触覚版”を用いれば、「質感」を色彩のようにデザインの一要素として考えることができます。

触覚のリアリティデザイン

ボールをミートする感覚を覚えると、頭より先に身体が動く……。テニス、野球、ゴルフほかスポーツにおける、身体で記憶、記録する感覚は「実感」のわかりやすい例です。リアリティのある感覚的情報である「実感」のデザインは、体験のデザインが叫ばれるプロダクト、サービス設計だけでなく、個人と社会の関係性のデザインにおいてますます重要になるでしょう。

触覚のコミュニケーションデザイン

好きな人を抱きしめれば安らぐし、握手を交わせば信頼感が増す。言葉以上に、身体の接触や感覚の共有は他者との関係性において重要です。ライブやスポーツなど“生”が醍醐味のエンタテインメントを見て起こる興奮。これも「情感」の働きによるものです。触覚に基づく他者との「情感」(共感)のデザインは、まだまだ未開拓の分野ながら、 ユニークなコミュニケーションを生み出す可能性があります。


■ユーザーコミュニティの創出

触覚分野最大のハッカソン「ショッカソン」

身体性メディアコンソーシアム参画企業による共同プロジェクト。2014〜2018年の5年間、毎年夏に開催し、多くの触覚研究者も協力。毎回60人ほどのエンジニアやクリエイターが集い触覚技術を使った作品を制作しました。東京から始まり、現在は全国各地に展開しています。

触覚分野最大のハッカソン「ショッカソン」
触覚分野最大のハッカソン「ショッカソン」
触覚分野最大のハッカソン「ショッカソン」
触覚分野最大のハッカソン「ショッカソン」

HAPTIC DESIGN AWARD

視聴覚メディアの次の時代を創造する価値として注目が集まる「身体/感性/触覚のデザイン」にフォーカスをあてたグローバルアワード。これまでに世界20ヶ国以上からアート、VR、映像、プロダクトやワークショップなど多様な分野から200以上の作品がアプライされました。

HAPTIC DESIGN  AWARD
HAPTIC DESIGN  AWARD
HAPTIC DESIGN  AWARD
HAPTIC DESIGN  AWARD
HAPTIC DESIGN  AWARD

HAPTIC DESIGN AWARD受賞作品
① 2016 GRAND PRIZE 「稜線ユーザーインターフェース」(安井重哉)
② 2016 FIRST PRIZE 「積み紙」(川崎美波)
③ 2017 GRAND PRIZE「The Third Thum」(Dani Clode)
④ 2017 JUDGE’S SELECT「いしのこえ」(MATHRAX)

HAPTIC DESIGN  AWARD
HAPTIC DESIGN  AWARD
HAPTIC DESIGN  AWARD
HAPTIC DESIGN  AWARD

HAPTIC DESIGN Meetup

触覚をデザインする HAPTIC DESIGNER 人材の育成とコミュニティ形成を目的としたMeetupを開催。従来、触覚研究では扱われなかったような領域において「HAPTIC DESIGN」の可能性を議論しました。

HAPTIC DESIGN  Meetup

2016年11月から2019年3月までの間に合計11回のミートアップを開催。
HAPTIC x ( ) Design をテーマに、毎回異なる分野との掛け合わせを設定。
1. Sound / 2. Body / 3. Entertainment / 4. Emotion / 5. Social / 6. Costume/ 7. Kids / 8. Material / 9. Skill


[ 表紙 | 人間が人間らしく生きるために | 身体性メディアに基づく新産業の創出を目指して | バーチャルの力によって立ち上がる現実こそが本質 | 触原色原理の究明/一体型触覚伝送モジュールの開発 | ウェアラブル触覚インタフェース/身体性コンテンツプラットフォームの構築 | 共創コミュニティの創出 | 身体性テレイグジスタンスプラットフォームの構築 | アイデアを社会実装へと繋げるために | 研究組織 | 研究期間 | 主な論文・特許 | 主催イベント | 研究参加者 ]

人間の存在拡張を実現する総合技術「テレイグジスタンス」の現在形

バーチャルリアリティ、ハプティクス、ロボティクス、AI、ネットワークなどの技術を統合し、世界中のアバターを自己の分身として人間の存在を拡張する総合技術「テレイグジスタンス」。ACCELでは研究開発活動を通じて、2017年1月に、この技術の産業化を実現し、個人、企業、社会の生産性や利便性を飛躍的に向上させ、より生き生きと豊かで、かつ持続可能な社会づくりに貢献するためのベンチャー企業「テレイグジスタンス株式会社(TX inc.)」を立ち上げるに至りました。ここではテレイグジスタンスを実現する技術革新への40年の道のりを概観し、その将来を展望します。

●XPRIZE Visioneers Summitでのテレイグジスタンス(AVATAR)の採択

2016年10月、イノベーション界のカリスマと呼ばれるピーター・ディアマンデス氏が1995年に創立した非営利組織「XPRIZE財団」が主催するコンペ「Visioneers Summit」が開催されました。それに際して日本に調査に訪れたXPRIZE 財団のAvatar チームから、「世界で最も進んでいるAvatarであるTELESAR V の実演をVisioneers Summit で行ってほしい」旨の要請を受け、舘暲を始めとした研究室のグループで実演をしました。次期のXPRIZEの対象テーマを複数候補の中から選ぶこのコンペでは、テレイグジスタンスが他のテーマ候補を押さえ選出されました。世界中から参加者が集まる2022年のAVATAR XPRIZEの最終審査に向けて競争が開始されたことを契機に、テレイグジスタンスに関する研究開発は大きな飛躍を見せることになりました。

●テレイグジスタンス株式会社(TX inc.)の設立

ACCELのもう一つの大きな成果として、テレイグジスタンスで未来を創るロボティクス開発ベンチャー「テレイグジスタンス株式会社(TX inc.)」の設立があります。会長には舘暲が就任し、富岡仁CEO(最高経営責任者)とチャリス・フェルナンドCTO(最高技術責任者)のもと、南澤孝太を技術顧問として、テレイグジスタンスの実現を支えるアバターロボットの設計・製造・オペレーションなどを中心とした事業を推し進めています。チャリス氏は起業への思いを、このように語ります。「私はもともと研究開発だけではなく、開発したロボットを社会に出したいという思いが強くありました。単純作業などはどんどんロボットに代替していき、人がクリエイティブなことに専念できるような環境をつくっていけたらと思います」。

●人の様々な行動と感覚を相互伝送できる身体性テレイグジスタンスプラットフォームの構築

40年近いテレイグジスタンスの研究開発は、身体性テレイグジスタンスプラットフォーム TELESARシリーズの開発の進化(下記年表)に見て取ることができます。特にACCELにおいては、CRESTの研究成果で生まれた「TELESAR V」のシステムに、触原色伝送モジュールの活用、手の運動機能の高度化、脚部・移動機能の付与を行い、触覚情報の伝送や身体的動作の拡張を可能にた「TELESAR Ⅵ」を開発しました。また、テレイグジスタンスのより手軽な実証実験を可能にするツールキットの開発なども行い、テレイグジスタンスプラットフォームのさらなる応用展開も行いました。

●時空間瞬間移動産業という、現在の自動車産業に匹敵する新産業時代の幕開け

この5年間の研究成果やAVATAR XPRIZEへの採択、大企業やベンチャー企業の参入によって、いよいよ「テレイジスタンス社会」の実現が現実味を帯びてきました。

テレイジスタンス社会では、世界中にアバター(義体)を配置し、ユーザーが自分の代理として義体を在宅で自由に利用することで時間と空間の制約を解除し、ユーザーの未知の体験を可能としつつ、人の能力を自在に活用可能にして、かつ省エネルギーにも貢献することが可能になります。また日常においては、製造業やサービス業での利用はもとより、清掃作業、土木建築作業、農林水産業、工場のプラント内の危険劣悪環境内での点検/修理作業、警察、探検、レジャー、テストパイロットやテストドライバーの代替など広い分野で利用が想定さています。その一方で緊急時は、捜索、人命救助、復旧作業等での利用が可能となり、日常的な運用と緊急対応のデュアルユースということも、テレイグジスタンスだからこそ可能となるのです。このような「時空間瞬間移動産業」時代の幕開けは、もう目の前に近づいているのです。

テレイグジスタンス(telexistence)
●テレイグジスタンス(telexistence)とは

「人間が現存する場所とは異なった場所に実質的に存在し、その場所で自在に行動する」という人間の存在拡張の概念と、それを可能にする技術体系を「テレイグジスタンス」と呼びます。この技術によって、自分自身の分身ロボットであるアバターを用いて遠隔地に存在したり、コンピュータが創成した身体をアバターとして情報空間に存在したり、情報空間を介して実空間に存在したりすることが可能となります。この概念を1980年に提唱したのがACCELの研究代表者でもある舘暲教授で、日本では40年にわたりこの分野で世界をリードしています。

ACCELの5年間は、これまでの研究成果を統合したテレイグジスタンスロボットのバージョンアップに並行して、これまでの実践が世界的に脚光を浴び始める機会となりました。大きくは2つ、AVATAR XPRIZEと、テレイグジスタンス株式会社の設立です。現在では、 通信業界・航空業界・自動車業界をはじめとした大企業、ベンチャー企業も参入し、新しい産業領域が形成されつつあります。

tele- or tel- = Distance; distant. 離れて
existence = The fact or state of existing; being. 存在
telexistence = tel- + existence 離れて存在すること、あるいは、そのように感じること

テレイグジスタンス

[ 表紙 | 人間が人間らしく生きるために | 身体性メディアに基づく新産業の創出を目指して | バーチャルの力によって立ち上がる現実こそが本質 | 触原色原理の究明/一体型触覚伝送モジュールの開発 | ウェアラブル触覚インタフェース/身体性コンテンツプラットフォームの構築 | 共創コミュニティの創出 | 身体性テレイグジスタンスプラットフォームの構築 | アイデアを社会実装へと繋げるために | 研究組織 | 研究期間 | 主な論文・特許 | 主催イベント | 研究参加者 ]

アイデアを社会実装へと繋げるために
Program Manager / プログラムマネージャー
JUNJI NOMURA / 野村淳二

Associate Program Manager / プログラムマネージャー補佐
KOUTA MINAMIZAWA / 南澤孝太
──このACCELというプログラムで当初見据えていたものとは何だったのでしょうか。

南澤:純粋に大学のプロジェクトとして、CREST(「さわれる情報環境」プロジェクト)ではある程度実用化が見えるような段階まで来ていたので、あと5年、もう一度ブーストをかけて社会実装に繋げていこうというのがACCELのそもそものコンセプトです。CRESTでも大学の研究としての成果はあったけれど、それは「学会の周辺で面白いものができた」というレベルで、それを実際のビジネスに繋げたり、新しい産業を生むところに橋渡しをするのがACCELの役割でもあります。もっとも初期の頃から産業界におけるVRの活用をされていた野村さんに入っていただき、実際にVRという概念を立ち上げた舘先生とのペアというかたちで、ACCELをチームアップしたという経緯です。

野村:私たちにとって技術とは、学術での成果をベースにして産業応用をするものであって、商品化技術だけでは(商品は)出来上がらないんですよね。「その技術は本来どうあるべきか」という原理原則の部分を探求するのは大学の役目です。

産業界においては、技術研究から商品化まで10年かかるというのは常識です。パナソニックの場合、事業部に所属する部署での商品開発は2~3年のスパンで回しますが、一方で研究所では通常は5年、基礎研究は10年やっていいことになっています。独自の発想で構わないし、ペーパーワークでも構わないので、10年先を考えてほしい。「こんなことをやったら、技術開発に繋がります。そのための基礎研究の種はここにあるんです」と社員から言われたら「人件費のことは気にせず挑戦しろ」と言います。そのかわり、基礎研究計画書を書きなさいと伝えます。先のことはわからないので、それを100%は達成できなくてもいいですが、書くと責任感が湧くので。

産業界で独自に研究を進めることもできるんですが、学術機関と一緒に基礎的な概念を固めて「この技術をこういうかたちの商品に活かしましょう」とするのが、本来の意味で企業の研究所と呼ばれるところの役目であり、存在価値であろうと思います。時間がかかるかもしれないということも踏まえて、基礎的なところから大学と一緒にやらせていただくというのは、こういったACCELのような仕組みの中でしかできないだろうと思います。

南澤:大学のあり方も変わりつつあるなかで、どうしたら産業界と密に繋がりながら、新しいものを生み出せるか。こうした全体のミッションを考えたときに、野村さんのような方から、産業界側でのノウハウや知見を伺ったりしながら進めていけるというのが、今回非常に大きかったという気がします。大学側だけでも、研究者の個人的な想いを原動力にすればある程度研究は進みますが、それが社会に展開され実装されるときのさらに具体的なニーズというのは、やはり掴みきれない。一方で、ニーズを知っている産業側の人たちも、5年10年後にどういうテクノロジーがあるかが見えないと、今あるテクノロジーをベースにした議論に終始してしまいます。僕らが5年10年先のテクノロジーを提案し、それをベースに議論をして、テクノロジーの方向性をチューニングしていくことで、両者の視点がちゃんと1点で交わる。今回のACCELのプロジェクトマネジメントとしては、そういう環境を作り出すことにだいぶ注力ました。

──実際に行ったコラボレーションを振り返っていかがでしたか。

南澤:近年はオープンイノベーションとか共創といったことがよく言われていますが、産業界における研究所でも、大学の巻き込み方の成功ノウハウはおそらくそれぞれに持っている。ですが、実は大学側からしたら、企業さんの方から「一緒にやりましょう」と言われたからやっているというケースがおそらくほとんどです。大学の方も主体的に、産業界との関わり方を覚えて考えて、それによって生まれる価値を自覚的に再設計するというのが、今回の大きなミッションのひとつでした。

野村:ACCELのような仕組みがあれば、産業界から来た人間が大学側と常に議論できるようになり、そのことによって何かが結晶化する。それが大切なんです。産業界だけで固まっていると、単なる産業界の中の延長線上の話として「ここにこう書いてあるからやろう」といった計画にとらわれてしまう。それを白紙化して学術的なところと議論することで、頭がリフレッシュされ、いろんなものが生まれてくる。突き詰めると、それが国にとっても非常に意味があるということです。

南澤:まさにそういう場ですよね。僕らも、普段いわゆるビジネスの場で活動されている方が、ちょっと長期の視点や“そもそも論”に立ち返って考えたり議論したりする場を提供するというのは、大学の大きな価値だなと思っています。それをACCELの枠の中で形にしているのが、ACCELコンソーシアムだったり、HAPTIC DESIGN PROJECTだったり……。それぞれに異なったモチベーションを持ついろいろなジャンルの人たちがやって来て、集まって話をすることによって、新しい分野が生まれる。いわゆる研究者と呼ばれる僕らのような存在がそこにいることによって、そこから生まれてくる種のようなものを見ながら、実際の技術開発や基礎研究、サイエンスとテクノロジーといったものを前に進めていく。それぞれが持っている未来へのビジョンに対して、フィジビリティ(実現可能性)とエビデンス(根拠)を付けていくことで、産業界と大学、双方向の両輪がうまく回っていくというのは、僕もこのプロジェクトに関わる中で強く実感した部分です。

野村:商品化も含めて、産業界の評価基準のもとに成果をきちっと出すというのが、産業界の役割ですね。学術的な研究は汎用的なものですから、企業が独占するような話ではないんですけれども、それをどこまで高めていくか。いわゆる「世の中の役に立つかどうか」を評価基準にするというのは良し悪しがありますが、開発したものはどこかで応用しないといけない。

南澤:そういう意味では、「こっちに進むぜ」といったドライビングフォースは、やっぱり大学の研究者の方にあるのかなと思います。研究者たちがそれぞれ目指している方向性があって、「そんなことができるなら、ここに使えるじゃないか」という部分を、その周りにいらっしゃる企業の方が、それぞれの思惑で見立てていく。その思惑と研究者側の意思が一度噛み合うと、ちゃんとそっちの方向に未来が進んでいくというのが、幸い今起きつつある状況なのかなと思っています。

僕の中で「うまくいったな」と感じる瞬間って、それぞれの企業の人たちが、ある意味“勝手に”、僕らの言っていたビジョンを自分たちの企業やプロジェクトとして紹介しているというような状況です(笑)。いわゆる、研究者がビジョンを出して企業の方がそのフォロワーになるというような体制だと、やっぱり絶対にうまくいかない。でも、ACCELでは企業の方それぞれが自分事として「こういう未来を俺たちが作っているんだ」と語っていて、その言葉の中に僕らの提案も含まれている。今までは1人のものだったアイデアが、

野村淳二
野村淳二

科学技術振興機構ACCELプログラムマネージャー。1971年京都大学工学部卒業。1971年に松下電工株式会社入社、1988年に工学博士を取得。1990年に、システムキッチンの使いやすさの検証用途にVRシミュレーションを活用した「システムキッチンVRシステム(VIVA)」の開発を統括。旧松下電工の新宿ショールームに導入し、「つくる前に、設計段階で、あなたのシステムキッチンの使い勝手を確認」することができる環境を整えた。パナソニック株式会社の代表取締役専務や顧問を歴任し、2014年にはIEC(国際電気標準会議)会長などを歴任。

南澤孝太
南澤孝太

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)教授、科学技術振興機構 ACCELプログラムマネージャー補佐。2010年 東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了、博士(情報理工学)
触覚技術を活用し身体的経験を伝送・拡張・創造する身体性メディアの研究開発と社会実装、Haptic Design Project を通じた触感デザインの普及展開,新たなスポーツを創り出す超人スポーツやスポーツ共創の活動を推進。

ACCEL プログラムにおける産学共創推進の主な軌跡
2015.4お台場に日本科学未来館研究棟Cyber Living Lab DAIBAを開設
2015-2018触覚分野最大のハッカソン『ショッカソン』を開催
2016.4身体性メディアコンソーシアムを設立(2019.9 現在50社が参画)
2016.10触覚デザイン人材の育成を目的としてHAPTIC DESIGN PROJECTを始動
2017.4渋谷FabCafe MTRLにLiving Lab SHIBUYAを開設
2018-20195G通信時代の触覚伝送の実現に向けて、スマートフォンや放送コンテンツにおける触覚伝送プロトコルの策定に向けたIEC(国際電子会議)での日本の産学コミュニティを中心に標準化活動を推進
産学共創による社会実装例

産学共創による社会実装例

日本科学未来館 Cyber Living Lab DAIBA日本科学未来館
Cyber Living Lab DAIBA

Living Lab SHIBUYALiving Lab SHIBUYA

[ 表紙 | 人間が人間らしく生きるために | 身体性メディアに基づく新産業の創出を目指して | バーチャルの力によって立ち上がる現実こそが本質 | 触原色原理の究明/一体型触覚伝送モジュールの開発 | ウェアラブル触覚インタフェース/身体性コンテンツプラットフォームの構築 | 共創コミュニティの創出 | 身体性テレイグジスタンスプラットフォームの構築 | アイデアを社会実装へと繋げるために | 研究組織 | 研究期間 | 主な論文・特許 | 主催イベント | 研究参加者 ]

東京大学 高齢社会総合研究機構 舘研究室https://tachilab.org
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 Embodied Media Projecthttp://embodiedmedia.org
東京大学 大学院新領域創成科学研究科 篠田・牧野研究室https://hapislab.org
電気通信大学 梶本研究室http://kaji-lab.jp
奈良女子大学 佐藤研究室http://katsunari.jp/satolab
アルプスアルパイン株式会社https://www.alpsalpine.com
日本メクトロン株式会社https://www.mektron.co.jp

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  2014年12月15日〜2019年11月30日(5年間)

  JST CREST「さわれる人間調和型情報環境の構築と活用」(2009年10月〜2015年3月)の継続発展課題として開始


[ 表紙 | 人間が人間らしく生きるために | 身体性メディアに基づく新産業の創出を目指して | バーチャルの力によって立ち上がる現実こそが本質 | 触原色原理の究明/一体型触覚伝送モジュールの開発 | ウェアラブル触覚インタフェース/身体性コンテンツプラットフォームの構築 | 共創コミュニティの創出 | 身体性テレイグジスタンスプラットフォームの構築 | アイデアを社会実装へと繋げるために | 研究組織 | 研究期間 | 主な論文・特許 | 主催イベント | 研究参加者 ]

触原色原理/一体型触覚伝送モジュールの研究開発

ウェアラブル触覚インタフェース/身体性コンテンツプラットフォームの研究開発

身体性テレイグジスタンスプラットフォームの研究開発


[ 表紙 | 人間が人間らしく生きるために | 身体性メディアに基づく新産業の創出を目指して | バーチャルの力によって立ち上がる現実こそが本質 | 触原色原理の究明/一体型触覚伝送モジュールの開発 | ウェアラブル触覚インタフェース/身体性コンテンツプラットフォームの構築 | 共創コミュニティの創出 | 身体性テレイグジスタンスプラットフォームの構築 | アイデアを社会実装へと繋げるために | 研究組織 | 研究期間 | 主な論文・特許 | 主催イベント | 研究参加者 ]

2015年10月23日第1回公開シンポジウム in DCEXPO 2015「身体性メディアが創る未来」舘暲 ×野村淳二 × 南澤孝太
2016年10月29日第2回公開シンポジウム in DCEXPO 2016「身体とエンターテインメントの未来」 舘暲 × 猪子寿之 × 南澤孝太
2016年11月19日Haptic Design CAMP #1「HAPTIC DESIGNとコミュニケーション,知育/玩具」 川村真司 × 大屋友紀雄 × 高橋晋平 × 渡邉淳司 × 南澤孝太
2016年11月19日Haptic Design CAMP #2「HAPTIC DESIGNとファッション,空間/インテリア」 泉栄一 × 堀木俊 × 渡邉淳司 × 南澤孝太
2017年6月21日Haptic Design Meetup vol.1 Haptic ×(Sound)Design  本多達也 × 金箱淳一 × 南澤孝太
2017年7月19日Haptic Design Meetup vol.2 Haptic ×(Body)Design  田中由浩 × 倉澤奈津子 × 竹腰美夏 × 南澤孝太
2017年9月4日Haptic Design Meetup vol.3 Haptic ×(Entertainment)Design  梶本裕之 × 川口貴志 × 横山諒 × 南澤孝太
2017年10月4日Haptic Design Meetup vol.4 Haptic ×(Emotion)Design  仲谷正史 × TELYUKA(石川晃之&石川友香) × 南澤孝太
2017年10月29日第3回公開シンポジウム in DCEXPO 2017「XPRIZEへの挑戦が拓く未来」 舘暲 × 袴田武史 × 南澤孝太
2017年11月4日Haptic Design Meetup vol.5 Haptic ×(Social)Design  渡邊淳司 × 太刀川英輔 × 南澤孝太
2017年12月1日Haptic Design Meetup vol.6 Haptic ×(Costume)Design   網盛一郎 × 廣川玉枝 × 小原和也 × 金箱淳一
2018年2月21日HAPTIC DESIGN AWARD 2017 授賞式,HAPTIC DESIGN MEETUP SPECIAL 
2018年2月27日〜2018年3月31日NTT ICC 企画展「距離0から拓くデザインの未来─見る/聴くから“触れる”へ」
2018年9月7日Haptic Design Meetup vol.7 Haptic ×(KIDS)Design  田中章浩 × 臼井隆志 × 小原和也 × 南澤孝太
2018年11月6日Haptic Design Meetup vol.8 Haptic ×(Material)Design  小野正晴 × 上條正義 × 小原和也 × 南澤孝太
2018年11月15日第4回公開シンポジウム in DCEXPO 2018「テレイグジスタンスの今 -時空間瞬間移動産業とテレイグジスタンス社会への挑戦 -」 舘暲 x Telexistence Inc. Model H
2018年12月21日Haptic Design Meetup vol.9 Haptic ×(Skill)Design  松井公平 × 吉田和人 × 小原和也 × 南澤孝太
2019年11月26日JST ACCEL 身体性メディアプロジェクト 成果報告 SYMPOSIUM & EXHIBITION

[ 表紙 | 人間が人間らしく生きるために | 身体性メディアに基づく新産業の創出を目指して | バーチャルの力によって立ち上がる現実こそが本質 | 触原色原理の究明/一体型触覚伝送モジュールの開発 | ウェアラブル触覚インタフェース/身体性コンテンツプラットフォームの構築 | 共創コミュニティの創出 | 身体性テレイグジスタンスプラットフォームの構築 | アイデアを社会実装へと繋げるために | 研究組織 | 研究期間 | 主な論文・特許 | 主催イベント | 研究参加者 ]

東京大学舘暲、篠田裕之、井上康之、加藤史洋、牧野泰才、長谷川圭介、野田聡人、仲谷正史、田島優輝、山崎喬輔、中郁己、付俊凱、青山瑠美子、長田奈緒子、小堺春菜、大井美乃里
慶應義塾大学南澤孝太、Charith Fernando、Roshan Peiris、Liwei Chan、MHD Yamen Saraiji、神山洋一、金箱淳一、児島絵美理、小原和也、柳原一也、黒木帝聡、柴崎美奈、花光宣尚、水品友佑、早川裕彦、家倉マリーステファニー、田中博和、 前田智祐、小西由香理、松園敏志、清水麗子、眞保ありあ、Chen Zikun、Feng Yuan Ling、平山あみ花、Tanner Person、 中村開、畠山海人、村上崇樹、土屋慧太郎、古川泰地、 鍋島純一
電気通信大学梶本裕之、Yem Vibol、中村拓人、岡崎龍太、設楽幸寛、田辺健太
奈良女子大学佐藤克成、柴原舞、喜多萌子、服部愛
アルプスアルパイン株式会社高井大輔、萩原康嗣、稲垣一哉、佐藤邦生、川名譲、不藤平四郎
日本メクトロン株式会社外山敬三、吉原秀和、五十嵐清史、木村泰介、吉田暁生

身体性メディアコンソーシアム参画企業各社

レノボ・ジャパン株式会社/株式会社テック技販/テクノロジー・ジョイント株式会社/日揮株式会社/株式会社リクルート・キャリア/Tianma Japan株式会社/MASAMI DESIGN co., ltd/NVIDIA日本法人/メルセデス・ベンツ日本株式会社/株式会社資生堂/株式会社アスク/株式会社ソリッドレイ研究所/ダックリングズ株式会社/ソニー株式会社/株式会社ワントゥーテン/アイスマップ)有限会社/株式会社電通サイエンスジャム/日昌株式会社/一般社団法人T.M.C.N/クラレトレーディング株式会社クラリーノ事業本部/旭光電機株式会社/日本メクトロン株式会社/株式会社スパイスボックス/フィールズ株式会社/アルプスアルパイン株式会社/NTTコミュニケーションズ株式会社/富士ゼロックス株式会社基盤技術研究所/富士通株式会社/フォスター電機株式会社/凸版印刷株式会社/株式会社ピクス/株式会社CRI・ミドルウェア/株式会社NHKエンタープライズ/株式会社電通テック/富士フイルムホールディングス株式会社/ミレトス株式会社/株式会社AOI Pro./株式会社岡村製作所/Dverse Inc./帝人株式会社 スマートセンシング事業推進班/Telexistence株式会社/株式会社リコー/ヤマハ株式会社 研究開発統括部/豊田合成株式会社/任天堂株式会社/SMK株式会社TP事業部/ミズノ株式会社グローバルフットウェアプロダクト本部/株式会社タイカ/イクスアール株式会社  (入会順・2019年11月現在)

FACTBOOK 編集チーム

小原和也(株式会社ロフトワーク、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科リサーチャー)
柳原一也(株式会社ロフトワーク、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科リサーチャー)
神野真実
後藤知佳

デザイン 本田 篤司(sekilala)

表紙 川添むつみ(StudioSnug illustration)

発行元 科学技術振興機構(JST)ACCEL H26年度採択研究課題
「触原色に立脚した身体性メディア技術の基盤構築と応用展開」

発行日 2019年11月26日